大手文具メーカーによる、D2Cブランドの立ち上げ
【PLUS株式会社】
文具メーカー業界第2位のシェアを誇るプラス株式会社が、グループ会社のセーラー万年筆株式会社と共同で、初となるD2C自社店舗を銀座に出店されました。その新店舗立ち上げに伴う、ブランディングを原宿デザインが担当させていただきました。
「ancora(アンコーラ)」というブランド名しか決まっていないという初期フェーズからプロジェクトに参画させていただけたことで、私たちがブランディングにおいて重要だと考える「戦略」と「デザイン」の両面からアプローチを行い、ブランドの基盤となるアイデンティティを確立し、ブランドの核となる価値を明確に定義することができました。
「ancora」に足を運ぶ理由、すなわち顧客に提供する価値を深く掘り下げ、その提供価値を最大化するための多様なデザインアウトプットを展開しました。
依頼内容
実施内容
- MIの策定(コンセプト、ステートメントの開発など)
- VIの策定(ブランドの世界観、ロゴ開発、モチーフ開発)
・パッケージデザイン
・ショッパーなどの店頭ツールのデザイン
・オフィシャルECサイトの制作
・撮影
ブランドの世界観構築と、ブランドステートメント開発
ヒアリングを通じて、店舗に足を運ぶ動機となる「提供価値」を探りました。店舗で提供すべきサービスや販売する商品がまだ確定していなかったため、弊社からもアイデアを出し、現実的かつ実行可能な形に落とし込んでいく作業を行いました。
並行して、目指すべき理想の世界観を具体化するため、イメージボードとブランドステートメントをご提案し、ターゲット層の絞り込みを行いました。初期の提案段階では、「高級感の強弱」や「ターゲット層の違い」に基づき、3方向の異なるイメージボードを作成しました。これにより、担当者様それぞれの頭の中にあるイメージをビジュアルで具現化し、共有することができました。ビジュアルを見ながら意見をすり合わせることで、ブランドの世界観を共通の認識として定義し、最終的に様々なアウトプットを一貫性のあるイメージで展開することができました。

ブランドのコンセプトを表現した、ロゴデザイン
「ancora(アンコーラ)」は、万年筆や自分だけの色を作れるインク工房などを通じて、「書く」「描く」といった新しい体験を提供するブランドです。このブランドのロゴデザインは、万年筆で書いた(描いた)ような繊細な線と、ブランド名「ancora」の由来である碇からインスピレーションを得て創作されました。
デジタル化が進む現代においてだからこそ、自分自身の手で「書く」こと、思いを込めて「描く」ことの価値が再認識されています。このコンセプトを反映させるため、ロゴには手書きのラインをモチーフにしたシンボルマークを採用しました。

ブランドの付加価値を醸成するパッケージデザイン、店頭ツールデザイン
店舗に足を運びたくなる理由のひとつになるようにとの願いを込めて、パッケージや店頭ツール一つひとつでブランドの世界観を表現しました。ロゴに加え、ブランドのビジュアルアイデンティティを形成するためのモチーフを開発し、それを基盤に各種ツールのデザインを行いました。
このモチーフは、ブランドの根幹にある価値を視覚的に伝えるための重要な要素であり、それを通じて、店舗や製品に触れた際に「ancora」の独自性と魅力を感じてもらえるようなデザインを追求しました。パッケージや店頭ツールには、そのモチーフを組み込み、統一感と洗練された印象を与えることで、ブランドの世界観をより深く、かつ直感的に理解できるようにしています。

ユーザビリティに配慮したオフィシャルECサイト
ブランドの世界観を表現することに加え、ユーザビリティにも十分に配慮し、ストレスなく購入ができるECサイトの実現を目指しました。UI設計やデザインだけでなく、ShopifyとNEXTENGINEを用いたECサイト開発におけるシステムディレクションまで、全ての工程を担当しました。
ビジネスニーズとユーザーニーズの双方を見据え、フロントエンドの要件定義書を作成。その要件定義書に基づき、システムの開発を進めました。在庫管理や発送においては、プラス株式会社様の全体のシステムや、店舗での購入と連動させる必要があり、関係部署が多岐にわたる中で、要件が複雑化しました。このため、ご要望を整理し、優先順位を明確にすることで、実現可能な方法を提案し、クライアント様とシステム開発者の間に立ち、細部にわたるディレクションを行いました。
さらに、各部署との連携など細部まで丁寧にプロジェクトマネジメントを行いました。


文具ブランドとして、付加価値を醸成するトータルブランディング
文具の愉しさと出会う場所としての魅力を引き出すため、ブランドロゴ、パッケージ、ショップツール、ブランドサイト、ECサイトに至るまでブランドのコンセプトを一貫して体現しています。
文具が単なる消費財でなく、創造性を刺激し、個々のライフスタイルに寄り添う存在であることを視覚的に伝えることで、ブランド全体の価値を高め、訪れるすべての人に豊かな体験をもたらすことを目指しています。
